小規模事業者でもしっかり儲ける!ランチェスター戦略

"ランチェスター戦略"・・・なんかカッコ良い響きですよね♪ これもマーケティング業界で良く使われる言葉です。

ランチェスター戦略というのは、元々イギリスの航空工学研究者が提唱した戦争に勝つための戦争理論の事です。この理論は第一の法則と第二の法則があって、武器効率と兵力数、接近性と広域戦、云々かんぬん・・・これらの理論を経営に当てはめて考えられますよ、というのが現代マーケテイングで言われる内容です。

そのまま理解するには少し難しいと思いますので、簡潔に小規模事業者にあてはめて言うと、


弱者(兵力数で劣る)は接近戦・局地戦・陽動戦・一騎打ち戦法の4つで勝負しよう!


ということです。詳しく説明すると、

➀ 接近戦:お客様との距離を縮めて、会う機会やお話しする機会を増やして戦いましょう、ということです。密着型の営業スタイルですね。ここは大手より小回りの利く小規模事業者の方が長けているのではないでしょうか。


例えば、地域の美容院であれば大手の様に低価格ではサービスを提供できない。なので徹底的に丁寧な接客を心がけ、丁寧な施術を心がけ、顧客からの高評価が口コミで広がり顧客拡大していく、とか、地元の定食屋さんがチェーン店にはないような接客を心がけ、地元ならではの話題を世間話として行い、使用する食材も地元の食材とし、徹底的に地域密着型に変えていくことで地元客の固定客化を目指すことなどが当てはまりますね。もちろん言うは易し行うは難しでどれも口で言うほど簡単ではないですが、戦略として心がける価値はあるのではないでしょうか。


➁ 局地戦:大手競合と比較しても経営資源に限りがある小規模事業者は、限られた経営資源をできるだけ限られた領域(マーケット)に絞り込んで注力し、その領域(マーケット)では大手を含めた競合他社に勝ちましょう、ということです。


成功事例としてはコンビニのセブンイレブンの例が挙げられます。セブンイレブンは全国一斉に出店していったわけではなく、例えば1996年に大阪に初進出する際には特定地域に高密度で集中して出店を続けました。当時大阪はローソンが圧倒的に幅を利かせており、セブンイレブンよりローソンの認知度が圧倒的に高かったときです。しかしこの集中出店作戦が功を奏し、300店を超えるあたりからセブンイレブンの認知度が向上し、集客力が急激に伸び始めた、と言われています。その後大阪以外でも出店を伸ばし続け、コンビニ業界で圧倒的なシェアを誇るようになりました。

ただ直近(2024年3~5月)はローソン、ファミリーマートと比較してセブンイレブンの既存店売上高が伸び悩み苦戦しているようですが・・これはまた別の話です。ランチェスター戦略の中の局地戦での好事例であることは事実です。


➂ 陽動戦:陽動戦とは、敵の判断を鈍らせるために予想もしないようなことを行う作戦のことです。つまり攪乱するわけです。こちらの意図を見えないようにして疑心暗鬼にさせることでもあります。そうすることで敵の兵力を分散させることにつながります。


これを経営にそのまま当てはめると、成功事例としてはよく挙げられるのがアサヒ飲料の"ワンダモーニングショット"ですね。もともと飲む時間に制約の無いはずのコーヒー飲料をわざわざ"朝専用"と言い切ったところがミソですよね。もちろんターゲティングやポジショニングなどの分析を徹底的に行った結果だと思いますが、"朝専用"というカテゴリーを新たに作り出し、圧倒的なシェアを持つコカ・コーラの"ジョージア"シリーズから缶コーヒーのシェアを奪っていきました。


➃一騎打ち戦法:これは競合が多いマーケットではなく、極力1社しかいない、もしくは2位以下が弱いマーケットに進出しましょう、という戦法です。競合が多いマーケットでは、自ずと経営資源の差から戦いに負けてしまいます。なのでできるだけ競合が少ないマーケットを見つけ出して、そこで自社の経営資源をつぎ込んで戦いに勝利しよう、という作戦です。


これも良い事例があり、一騎打ち戦法と局地戦法を合わせたような事例ですが、大手旅行会社として有名なエイチ・アイ・エスです。今でこそ有名になったエイチ・アイ・エスですが、創業当初は認知度も非常に低く、お客さんも少なかったそうです。


そんなエイチ・アイ・エスがどうしたかというと、➀1位になるまで目だたないこと ➁エリアごとに攻略していくこと の2つの戦略を徹底したそうです。つまり一気に目立ってしまうと、大手に同じ戦略を真似されて、潰されてしまうことになるため、メディア取材も極力断っていたそうです。そして他の旅行会社が扱っていない地域を選び出し、そこで国内シェア1位を獲得したら次のマイナー地域を選び、そこでもシェア1位を獲得する、ということを実施していったのです。当時旅行先としてはマイナーだったバリ島に経営資源を集中し、そこで国内シェア1位をとってから、次にタイで国内シェア1位となる、ということです。

いきなり全ての旅行先の扱いシェアを獲得することは、競合も多く困難を伴うため、ターゲットを絞って一つずつ集中して攻略していくという、まさにランチェスター戦略のお手本のような事例ですね。


いかがでしょうか。少々長くなってしまいましたが、これらがランチェスター戦略における弱者の戦い方理論です。実はこの弱者の理論に対して強者の理論もあるのです。詳細は省きますが、強者の理論は弱者の理論の真逆なのです。つまり

広域戦・遠隔戦・総合戦・誘導作戦

という戦法を採り、いかに弱者に差別化をさせないか、一騎打ちをさせないか、接近戦をさせないか、陽動されず誘導できるか、のための戦い方ということができます。


小が大に勝つ方法、それは少ない資源をいかに特定領域に絞って注入できるか、そしてその限られた領域(マーケット)においてシェア1位を獲得できるか、ということです。是非皆様も貴重な経営資源を効果的に活用できるよう、チャレンジしてみてください。

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